万葉植物図鑑
Manyo Flower Book
古代から伝わる万葉の植物は、けなげで清楚・万葉植物図鑑を片手に万葉植物花散歩を楽しみましょう
更新2024.7.23
万葉集は7世紀前半から759年までの、約130年間の日本最古の和歌集です。万葉集には天皇から庶民まで各階層、東北から九州まで各地域の和歌約4500首が収められています。万葉集には植物が詠われているものも多く、約180首が挙げられます。当時万葉集に詠われた植物名が不明なものもありますが、万葉に読まれた植物をいくつか紹介したいと思います。万葉の植物を写真と花観察地図、万葉の花情報で案内いたします。
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藤フジ
万葉集330「藤波の 花は盛りに なりにけり 平城の京を 思ほすや君」 初夏が近いころ奈良春日大社境内を花散歩していると、見事なフジの花が咲いていました。マメ科フジ属フジ(野田藤Japanese Wisteria Wisteria floribunda)は日本原産の双子葉、つる性、落葉木本です。フジはつる性の植物で成長すると30m程にもなります。フジは春に羽状複葉の葉を付け、長さ30cm〜80cm程の房状の紫色の花を咲かせます。フジの花はマメ科特有の蝶形花で、5枚の花弁(旗弁1、翼弁2、竜骨弁2)からなり、雌蕊1、雄蕊10です。フジの紫色で高貴な花は、初夏を告げる花として古代から人気があります。紫色のフジをフジ花写真、フジ花観察地図、フジ花情報でお楽しみ下さい。
油菜ナノハナ
万葉集957「いざ子ども 香椎の潟に白たへの 袖さへ濡れて 朝菜摘みてむ」 アブラナ科アブラナ属ナノハナ(油菜・菜の花Vegetable Flower Brassica rapa)は西アジアから西ヨーロッパ原産の双子葉、二年生草本植物です。ナノハナはアブラナ科の植物の花の総称です。ナノハナと呼ばれる植物にはキャベツ、菜の花、油菜、蕪(カブ)、野沢菜、スグキナなどがあります。ナノハナの定義は定かではありませんが、野菜から咲く黄色く明るい花は、里に春を告げます。ナノハナ(菜の花)は主に種子で増えます。菜の花(ナノハナ)の花は温暖な地域では冬の1、2月頃から、多くの地域では春の3月〜5月頃に開花します。里に春を告げるナノハナの黄色い花は、世界中で人気があります。ナノハナを菜の花花写真、菜の花花散歩地図、ナノハナ花情報でお楽しみ下さい。
露草ツユクサ
万葉集1351「月草に 衣は摺らむ朝露に 濡れての後はうつろひぬとも」 ツユクサ科ツユクサ属ツユクサ(露草Asiatic Dayflower Commelina communis)は日本など東アジアが原産の高さ15〜50cm程の単子葉、一年生、草本です。ツユクサは主に種子で増え、春から初夏に匍匐性の茎に基部に苞葉のある流線型の葉を付けます。初夏から秋に茎脇から1〜4の花序の花芽を収納した苞葉を付け、早朝に半開きの苞葉から1個の青色の花を咲かせます。ツユクサの花色は澄んだ青色(稀に白色)で、愛らしい形の花は世界中で人気があります。ツユクサの花はツユクサ科特有の花で、花弁が3枚です。ツユクサの花はがく片3、花弁3(青色2、白1)、雌蕊1、雄蕊6です。ツユクサの青色で可愛らしいは初夏から秋の野辺や道端を美しく飾ります。ツユクサをツユクサ花写真、ツユクサ花観察地図、ツユクサ花情報でお楽しみ下さい。
橘タチバナ
万葉集1481「我がやどの 花橘に ほととぎす 今こそ鳴かめ 友に逢へる時」 ミカン科ミカン属タチバナ(橘Tachibana Orange Citrus Tachibana他)は中国が原産の双子葉、常緑、小高木で、約2000年前に日本にやってきた植物と思われます。タチバナは成長すると2〜4m程で、黄オレンジ色の食用になる美しい実を付けます。タチバナは常緑で濃い緑色の葉を付け、初夏に白色の香りの良い花を咲かせます。タチバナの花はミカン科特有の花でがく片5、花弁5、雄蕊20〜25、子房5〜7室です。タチバナは花期後黄(オレンジ色)の3cm程の実を付けます。タチバナの香りの良い花と実は、四季の花散歩の楽しみです。タチバナをタチバナ花実写真、タチバナ花実観察地図、タチバナ花実情報でお楽しみ下さい。
藪椿ヤブツバキ
万葉集1262「あしひきの 山椿咲く八つ峰越え 鹿待つ君が斎ひ妻かも」 ツバキ科ツバキ属ヤブツバキ(藪椿Camellia japonica)は日本などの東アジア原産の双子葉、高木常緑樹の植物です。ヤブツバキは主に種子で増え、樹高5m〜6mほどの高木になります。ヤブツバキの枝はよく分かれ、互生の厚く表面に光沢のある深緑色の葉を付ける。ヤブツバキは冬から春に小枝の先に、5cm〜7cmの5枚の花弁が合着した赤い花をつけます。ヤブツバキの雌しべは柱頭が3〜4に分かれ、雄しべは多数で基部で合着しています。ヤブツバキは翌年の夏から秋に直径4〜5cmほどの大きさの実(果実)を稔らせます。ヤブツバキの果実の中には油分の多い種子があり、種子から椿油を採取します。
文目アヤメ
万葉集1490「霍公鳥 待てど来鳴かず菖蒲草 玉に貫く日をいまだ遠見か」 春に斑鳩法隆寺を花散歩していると、水路沿いに咲くアヤメの花が見頃でした。アヤメ科アヤメ属アヤメ(文目Japanese Iris Iris sanguinea)はアジア原産の植物で単子葉、多年生、草本です。アヤメの花色は青色、紫色、白色、他で直径6cm〜7cm程の大きさです。アヤメの花はアヤメ科特有の、花被片6(外花被片3、内花被片3)です。アヤメの華やかな花は、初夏を告げる花として人気があります。アヤメをアヤメ花写真、アヤメ花観察地図、アヤメ花情報でお楽しみ下さい。
河原撫子カワラナデシコ
万葉集1496「我が宿の なでしこの花 盛りなり 手折(たお)りて一目 見せむ子もがも」 ナデシコ科ナデシコ属カワラナデシコ(河原撫子Carnation Dianthus superbus他)は日本中国など東アジア原産の双子葉、多年生、草本の植物です。カワラナデシコの花色は赤色、白色、紅色、ピンク色、薄紫色などです。カワラナデシコの花はナデシコ科特有の花で、苞片2対、がく片5(長筒型5裂)、花弁5、雄蕊10、雌蕊花柱2です。カワラナデシコは花期後長さ3cm程の円柱状の果実ができ、黒色の種子(瞿麦子)を利用します。カワラナデシコをカワラナデシコ花写真、カワラナデシコ花観察地図、カワラナデシコ花情報でお楽しみ下さい。
桔梗キキョウ
万葉集2104「朝顔は 朝露おいて 咲くといえど 夕影にこそ 咲きまさりけれ」キキョウはキキョウ科キキョウ属の双子葉植物です。キキョウPlatycodon glandiflorusは日本、中国、朝鮮半島、東シベリアに分布する山野草で、夏から秋に青色(白色)の星型の花を咲かせます。キキョウは万葉の時代から好まれていて、秋の七草として知られています。キキョウの花を写真、キキョウの花散歩地図、キキョウの花情報でお楽しみ下さい。
葛クズ
万葉集1985「真田葛延(まくずは)ふ 夏野(なつの)の繁く かく恋(こ)ひば まことわが命(いのち)常(つね)ならめやも」 マメ科クズ属クズ(葛Asian arrowroot Pueraria montana)は東アジアが原産の双子葉、多年生、草本のつる性の植物です。クズは初秋から秋に紫色(赤色)の、総状花序の花を付けます。クズの花はマメ科特有の花で、がく片5、花弁5(竜骨弁2、翼弁2、旗弁1)、雄蕊10、雌蕊1です。クズは花期後マメ科特有の、莢果を付けます。クズの花を写真、クズの花観察地図、クズの花情報で案内いたします。
石竹セキチク
万葉集4114「石竹花が 花見るごとに 少女らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも」 ナデシコ科ナデシコ属セキチク(石竹China pink Dianthus chinensis 他)は中国、モンゴル、朝鮮半島などが原産の双子葉、多年生、草本の植物です。セキチクの花色はピンク色、赤色、白色、紅色、薄紫色などです。セキチクの花はナデシコ科特有の花で、苞片2対(4)、がく片5(長筒型5裂)、花弁5、雄蕊10、雌蕊柱頭2裂です。セキチクは花期後長さ3cm程の円柱状の果実(刮ハ)ができ、黒色の種子(瞿麦子)を生薬として利用します。セキチクをセキチク花写真、セキチク花観察地図、セキチク花情報でお楽しみ下さい。
萩ハギ
万葉集2225「我が背子が かざしの萩に 置く露を さやかに見よと 月は照るらし」 秋に奈良西の京歴史の道を花散歩していると、薬師寺の門前のハギの花が秋風に揺れていました。ハギはマメ科ハギ属Lespedeza の植物で、世界に40種ほど知られています。東アジアに分布するハギは特にJapanese cloverとも呼ばれています。ハギ属Lespedezaの種類は多いので全てを紹介できませんが、秋に赤色(白色、黄色)の小さなマメ科特有の花をつけるものが多いです。特にミヤギノハギLespedeza thunbergiiの花は、秋風に揺れる様子が古くから好まれています。ハギの花を写真、ハギの花散歩地図、ハギの花情報でお楽しみ下さい。
屁糞葛ヘクソカズラ
万葉集4317「菎莢(ざふけふ)に 延(は)ひ おほとれる 屎葛(くそかづら) 絶ゆることなく 宮仕へせむ」 アカネ科ヘクソカズラ(屁糞葛Paederia scandens)の花は、万葉集にも詠まれている私たちに身近な花です。ヘクソカズラは日本全国、アジア、ポリネシア、ハワイ諸島などに自生する双子葉、つる性の多年草です。ヘクソカズラは葉や茎に悪臭がありますが、夏から秋に咲くラッパ状の白く中心が赤紫色のおしゃれな花は、とても綺麗です。
《万葉植物図鑑案内・万葉植物の特徴・万葉植物情報》
植物名 | 万葉植物 漢字 萬葉植物 英語 Manyo Poem Flowers 中国語 万葉花歌植物 |
気候 | 温帯(東北地方から九州地方の一般的な植物) |
気温 | 0℃〜30℃ |
特性 | 食用、染色、薬用、実用的、可憐、清楚、華やかな植物、したたかな植物、他 |
花期 | 春花:ウメ、サクラ、モモ、ツバキ、ナノハナ、シャガ、ツツジ、ヤマブキ、他 初夏花:アジサイ、サツキ、ミヤコヨメナ、シャクナゲ、ハナショウブ他 夏花:ハス、スイレン、キキョウ、ツユクサ、ケイトウ、ムクゲ、他 秋花:フヨウ、キキョウ、野菊、ヒガンバナ、ハギ、リンドウ、マユミ、他 冬花:サザンカ、ツワブキ、ツバキ、ナンテン実、センリョウ実、他 |
花色 | 青色花:ツユクサ、アジサイ、アヤメ、リンドウ、ツルリンドウ、キキョウ、他 赤色花:ツバキ、サザンカ、タチアオイ、フヨウ、ムクゲ、ヒガンバナ、他 白色花:タチバナ、アセビ、サクラ、ウメ、ハス、スイレン、ヤマボウシ、他 黄色花:ヤマブキ、ナノハナ、キク、オミナエシ、スイカズラ、モクセイ、他 紫色花:ハナショウブ、ナデシコ、ケイトウ、ネジバナ、フジバカマ、他 オレンジ色花:ザクロ、ベニバナ、キンモクセイ、ザクロ、カンゾウ、他 |
特徴 | ・古代から「万葉の植物」といわれる植物分類があり、研究されている。 ・食用(菜の花)、染色(アカネ)、薬用(オミナエシ)など実用的なものが多い。 ・恋歌に詠まれる可憐、清楚、華やかな植物(ナデシコ、ウメ、サクラ)も多い。 ・古い時代に外国から帰化した植物(ザクロ、モモ、シャガ、キンモクセイ)が多い。 ・古くからの寺社で栽培(薬用、染色等利用)されている場合が多い。 ・建築工芸に適した植物(タケ、ツゲ、スギ、キリ、他)も多い。 ・野辺に咲く、したたかで逞しい植物(ヘクソカズラ他)も多い。 |
観察地 | 東大寺、飛鳥寺、法隆寺、薬師寺、法華寺、奈良公園、山の辺の道、長谷寺、他 |
特徴 | 日本固有種の他、薬草などの帰化植物が多い、植物の利用がされている |
利用 | 芸術、食用、染色、鑑賞用、庭園、生薬、薬草、医薬品、蝋燭、他 |
科名 | キク科、マメ科、バラ科、ツツジ科、アヤメ科、キンポウゲ科、ユリ科、アカネ科、他 |
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杜若カキツバタ
万葉集1361「住吉の浅沢小野のかきつはた 衣に摺り付け 着む日知らずも」 初夏が近いころ奈良平城京跡にある東院庭園を花散歩していると、カキツバタの花が咲いていました。アヤメ科アヤメ属カキツバタ(杜若Japanese Iris Iris laevigata)は日本など東アジア原産の単子葉、常緑、多年生、草本です。カキツバタの花期は初夏で、花色は青紫色、青色などです。カキツバタの花はアヤメ科特有の花被片6(外花被片3、内花被片3)で、雌蕊(花柱)の先は3分枝し花弁状で、雄蕊3です。カキツバタは江戸時代に品種改良され、様々な品種が創出されています。カキツバタの青紫色の涼しげな花は、初夏を告げる花として人気があります。カキツバタをカキツバタ花写真、カキツバタ花観察地図、カキツバタ花情報でお楽しみ下さい。
馬酔木アセビ
万葉集166「磯の上に 生ふるあしびを 手おらめど 見すべき君が ありと言はなくに」 初夏が近いころ奈良公園鷺池近くを花散歩していると、アセビの花が涼し気に咲いていました。ツツジ科アセビ属アセビ(馬酔木Japanese Andromeda Pieris japonica)は日本や台湾、中国など東アジア原産の双子葉、常緑、低木の植物です。アセビは成長すると樹高1〜4mになります。葉は楕円形で少し光沢があり毒性があります。春に枝先に複総状の花序を垂らし多くの白(稀に赤)い釣鐘状の花を付けます。アセビの花は0.6cm〜0.8cm程で、釣鐘状の合弁花です。アセビをアセビ花写真、アセビ花散歩地図、アセビ花情報でお楽しみ下さい。
枝垂柳シダレヤナギ
万葉集1819「うちなびく春立ちぬらし 我が門(かど)の 柳の木(うれ)に うぐひす鳴きつ」 初夏が近いころ奈良猿沢の池を花散歩していると、シダレヤナギの新緑が涼しげでした。ヤナギ科ヤナギ属シダレヤナギ(枝垂柳Weeping Willow Salix babylonica)は、中国北部原産の双子葉、落葉、広葉樹、高木です。シダレヤナギの花はヤナギ科特有の花で雄花序長1.5〜3cm、雄蕊2、雄花序長2〜3cm、柱頭2〜4裂です。シダレヤナギは花期後朔果長3〜4mm、有毛の種子(柳絮りゅうじょ)を付けます。シダレヤナギの有毛の朔果(柳絮りゅうじょ)は、風によって運ばれます。シダレヤナギをシダレヤナギ花実葉写真、シダレヤナギ花実葉観察地図、シダレヤナギの花実葉情報でお楽しみ下さい。
藤袴フジバカマ
万葉集1538「萩の花 尾花 葛花(くずはな) なでしこの花 おみなえし また 藤袴(ふじばかま) 朝顔の花」 フジバカマ(藤袴)はキク科ヒヨドリバナ属の双子葉植物です。フジバカマEupatorium japonicumは日本、中国、朝鮮半島、に分布する山野草で、秋に散房状に薄い藤紫色の花を咲かせます。フジバカマは万葉の時代から好まれていて、秋の七草として知られています。またフジバカマは薬草や香水(中国)、としても使用されています。フジバカマの花を写真、フジバカマの花散歩地図、フジバカマの花情報でお楽しみ下さい。
薄ススキ
万葉集2210「人皆は 萩を秋と言ふ よし吾は 尾花が末(うれ)を 秋とは言はむ」 ススキはイネ科、ススキ属の植物で、夏から秋に花茎を伸ばし20〜30cmほどの赤紫色の花穂の花(尾花)を咲かせます。ススキは花が咲いた後、白い毛の生えた種子(枯れ尾花)をつけます。ススキの花と種子は万葉の時代から、たくさんの詩に読まれています。ススキは秋の七草にも選ばれていています。ススキの秋風に揺れる様子が、古くから好まれています。ススキの花を写真、ススキの花観察地図、ススキの花情報でお楽しみ下さい。
女郎花オミナエシ
万葉集3944「をみなへし 咲きたる野辺を行き廻り 君を思ひ出た 廻り来ぬ」 オミナエシはオミナエシ科オミナエシ属の多年生双子葉植物です。オミナエシPatrinia scabiosifoliaは日本、朝鮮半島、中国、東シベリアの日当たりの良い草地に分布する山野草で、夏から秋に花茎を立て黄色い星型の合弁花を咲かせます。オミナエシの花は秋の七草の一つで古くから好まれていて、万葉集や源氏物語の中でも詩に詠まれています。オミナエシの花を写真、オミナエシの花散歩地図、オミナエシの花情報でお楽しみ下さい。
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彼岸花ヒガンバナ
万葉集2480「道の辺の いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ わが恋妻は」 秋風が吹くころ明日香にある高松塚古墳近くを花散歩していると、水田のあぜ道にヒガンバナの花が咲いていました。ヒガンバナ科ヒガンバナ属ヒガンバナ(彼岸花Red spider lily Lycoris radiata)は単子葉、多年草、草本です。ヒガンバナの原産は中国で、稲作とともに日本に帰化したと考えられています。ヒガンバナは鱗茎で春から夏を過ごし、秋の彼岸の頃30〜50cmほどの花茎を伸ばし、赤い放射状の花を咲かせます。ヒガンバナは花期後線状の細い葉を茂らせます。ヒガンバナをヒガンバナ写真、ヒガンバナの花散歩地図、ヒガンバナの花情報でお楽しみ下さい。
万葉集434「栲領巾の 鷺坂山の白つつじ 我れににほはに妹に示さむ」ツツジ科ツツジ属ミツバツツジ(三葉躑躅Rhododendron dilatatum 他)は日本原産の双子葉、落葉、低木です。里や山を紫色に飾るミツバツツジの花は、春の花散歩の楽しみです。ミツバツツジは、主に種子で増えます。ミツバツツジは秋に落葉し、春に葉が出る前に枝先に多数の花を一斉に咲かせます。ミツバツツジの花色は紫色、薄紫色で、稀に白色のものもあります。ミツバツツジの花はツツジ科特有の花構造で、筒状の花です。ミツバツツジはがく片5、花被片5(筒状5裂)、雄蕊5(10)、雌蕊1の花を咲かせます。ミツバツツジは花期が終わる頃、枝先に黄緑色の3枚の美しい葉を付けます。ミツバツツジをミツバツツジ花写真、ミツバツツジ花観察地図、ミツバツツジ花情報でお楽しみ下さい。
水蓮スイレン
万葉集3501「阿波をろの をろ田に生ふる たはみづら 引かばぬるぬる 我を言(こと)な絶え」 スイレン科スイレン属(睡蓮Water Lily Nymphaea tetragona他)は世界中に分布する双子葉、多年生、水生草本です。スイレンの花色は赤色、薄紅色、白色、黄色、青色他で香りの良いものもあります。スイレンの花はがく片4、花弁5枚以上、雄蕊多数です。スイレンの雌蕊は多数の心皮が集合して1個の雌蕊を構成し柱頭盤を形成し、柱頭盤には心皮数の柱頭があります。スイレンは地下茎、茎、葉、花、種子などが食用、医薬品などとして多方面で利用されています。スイレンをスイレン花写真、スイレン花観察地図、スイレン花情報でお楽しみ下さい。
桃モモ
万葉集4139「春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ乙女」 バラ科スモモ属モモ(桃Peach Prunus persica)は中国原産の双子葉、落葉小高木です。モモは成長すると高さ4m〜10m程に成長します。モモは春に赤色、白色の花を咲かせます。モモは大きさ2.5cm〜3cm程の花を、枝いっぱいに付けます。モモの花はバラ科特有の花弁5枚が基本で、雌しべ1、雄しべ多数で、八重咲きのものもあります。モモは夏に、大きく美しい果実を付けます。モモの花とモモの実は、世界中から愛され利用されています。
槿ムクゲ
万葉集2104「朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ」 夏の終わりに奈良西の京を花散歩していると、ムクゲの花が咲いていました。アオイ科フヨウ属ムクゲ(木槿Hibiscus syriacus)は東アジア原産の双子葉、落葉低木です。ムクゲはインド中国が原産の植物ですが、日本へは古い時代に渡来し、観賞用や茶花として好まれています。ムクゲはハイビスカス(フヨウ)の仲間です。ハイビスカスは夏から秋にかけて、白色、赤色、紫色などの直径10cm〜18cmほどのハイビスカスに似た花を咲かせます。
蓮ハス
万葉集3837「ひさかたの雨も降らぬか 蓮葉(はちすば)に 溜まれる水の 玉に似たる見む」 ハス科ハス属ハス(蓮Lotus Nelumbo nucifera)はアジアが原産の双子葉、多年生、水生草本です。ハスは温暖な浅い湖沼の沼地に成育します。ハスは冬を湖沼の泥沼中の地下茎(蓮根)で過ごし、夏に1〜2m程の単生の茎を延ばし、茎の端頂に直径25〜90cm程の大きな葉を1個茂らせます。ハスは夏に単生の花茎を伸ばし、花茎の端頂に直径10〜20cm程の大きな花を咲かせます。ハスの花色は赤色、薄紅色、白色で香りも良いです。ハスの花はがく片2〜5、花弁10〜30、雄蕊多数です。ハスの雌蕊は漏斗形の花床が特徴で、5〜30の心皮が集合してできています。ハスは地下茎、茎、葉、花、種子などが食用、飲用、菓子、医薬品などとして多方面で利用されています。ハスをハス花写真、ハス花観察地図、ハス花情報、ハスの実写真でお楽しみ下さい。
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鶏頭ケイトウ
万葉集1362「秋さらば 移しもせむと我が蒔きし 韓藍の花を 誰れか摘みけむ」 ヒユ科ケイトウ属ケイトウ(鶏頭Plumed Cock's comb Celosia argentea 他)は熱帯地方が原産の双子葉、一年生、草本です。ケイトウは成長すると30〜100cm程で、赤色、オレンジ色、紫色、白色他の鶏頭や燃える炎に似た花を咲かせます。ケイトウは温暖な気候を好み、主に種子で増えます。ケイトウは、春から初夏に発芽し、披針形で互生の葉を茂らせ、夏から秋に直線状に花茎を伸ばし、穂状花序の花を咲かせます。ケイトウの花はヒユ科特有の小さな花の集合で、花被片5、雄蕊5、花柱1です。ケイトウは花期後実(胞果、種子多数)を付けます。ケイトウは夏から秋の花で、鶏頭や炎に似たエキゾチックな花と葉が人気です。ケイトウの花と美しい葉色は、秋の花散歩の楽しみです。
石榴ザクロ
万葉集657「思はじと 言いてしものを はねずいろの うつろいやすき 我が心かも」 世界遺産に登録された元興寺は、ならまちと呼ばれる奈良市内の街角にひっそりとあります。晩秋に元興寺を訪問すると、門前にザクロの実が飾られていました。奈良時代にはペルシャなどとも文化交流のあった奈良の街に稔るザクロも、はるか西域から来たのかもしれませんね。ミソハギ科ザクロ属ザクロ(石榴Pomegranate Punica granatum)は双子葉、落葉、小高木です。ザクロの原産はイランなど西アジアの温暖地域です。ザクロは成長すると約5mで、冬に葉を落とし、春に2〜8cmの倒卵形の鮮やかな緑色の葉を茂らせます。ザクロは初夏から夏に、長さ2〜3cmの先が丸みを帯びた赤色の筒鐘状の蕾をつけます。ザクロの花は直径3cm程の鐘状で鮮やかな赤色が印象的です。ザクロの花はがく片6、花弁6、雌蕊1、雄蕊多数、子房下位で上部6室、下部3室です。ザクロは秋に直径6cm程の表面がゴツゴツした実を実らせます。ザクロの紅色の蕾や花、実は世界中で親しまれています。
紅葉イロハモミジ
万葉集2210「明日香川 黄葉流る葛城の山の 木の葉は今し散るらし」 初冬に奈良公園にある手向山八幡宮を花散歩していると、イロハモミジの紅葉が見事でした。カエデ科カエデ属イロハモミジ(Japanese Maple Acer palmatumいろは紅葉)は日本など東アジアが原産の双子葉、落葉、高木です。イロハモミジは落葉樹で、春に枝先に芽を出し、葉の形は掌状で5〜9裂です。イロハモミジの花は雌雄同株で、初夏にがく片5裂、花弁5裂の紫色の花を咲かせます。イロハモミジは受粉すると2翼の翼果を付けます。秋にイロハモミジの葉は黄色、オレンジ色、赤色に紅葉します。イロハモミジは観賞用の他、建材、食用、薬用など利用価値が高い植物です。イロハモミジをイロハモミジ花実葉写真、イロハモミジ花実葉観察地図、イロハモミジ花実葉情報でお楽しみ下さい。
梅ウメ
万葉集824「梅の花 散らまく惜しみ我が園の 竹の林に鴬鳴くも」 バラ科サクラ属ウメ(梅Japanese Apricot Prunus mume)は中国南部原産の双子葉、落葉高木の植物です。ウメは主に種子で増え、5m〜6mほどに成長します。ウメの花は温暖な地域では冬の1月頃から、多くの地域では2月〜3月頃に開花します。ウメの花は香りもよく古代より親しまれ、多くの絵画、句、文学にも取り上げられています。また初夏に実るウメの実は梅干を始め食品や飲料に使われます。ウメをウメの花実写真、ウメ花散歩地図、ウメ花実情報でお楽しみ下さい。
栗クリ
万葉集802「瓜食めば子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ・・・長歌」 ブナ科クリ属クリ(栗Japanese chestnut Castanea crenata)は、日本から朝鮮半島南部が原産の双子葉、落葉、高木の植物です。クリの木は成長すると15m程になり、春に長楕円形の葉を付けます。クリは初夏に黄みを帯びた白色の、雌雄異花の香りのある花を咲かせます。クリの花はブナ属特有の花で雄花は7〜20cmの穂状で多数の花を付けます。雌花は7〜15cmの穂状で雄花に比べ花は少なく子房3室です。クリは花期後夏に、結実すると棘のある実を付けます。秋にいがのある殻斗が開き、中から硬い茶色い果実が現れます。クリ花実を写真、クリ花実観察地図、クリ花実情報でお楽しみ下さい。
著莪シャガ
万葉集675「をみなえし 佐紀沢に生ふる はなかつみ かっても知らぬ 恋もするかも」アヤメ科アヤメ属シャガ(著莪Iris japonica)は中国原産の単子葉、常緑、多年生、草本です。シャガは根茎から25cm〜60cm程の光沢のある剣形の葉を付け、春から初夏に高さ40cm〜60cmの分岐した花茎に直径5cm程の薄紫色(ペールブルー)の花を5〜12個咲かせます。シャガの花はアヤメ科特有の花被片6(外花被片3、内花被片3)で、雌蕊(花柱)の先は3分枝し花弁状で、雄蕊3です。シャガは中国では薬草としても知られています。シャガのペールブルーの爽やかな花は、初夏を告げる花として人気があります。シャガをシャガ花写真、シャガ花観察地図、シャガ花情報でお楽しみ下さい。
桜花サクラ
万葉集1887「春日なる 御笠の山に月も出でぬかも 佐紀山に咲ける 桜の花の見ゆべく」バラ科スモモ属サクラ(桜花Prunus jamasakura他)はバラ科スモモ属の植物で、双子葉、落葉、小高木です。サクラ(桜花)の定義はあいまいなところもありますが、バラ科スモモ属で主に春に咲く5弁(八重のものもある)の植物を指します。サクラは主に種子、挿し木で増えます。サクラの花期は春で、葉を茂らす前に枝先に多数の花を付けます。サクラの花はバラ科に特有の花構造でがく片5、花弁5、雌しべ1、雄しべ多数です。春に開花するサクラの花は公園樹、桜並木などにも適しています。サクラをサクラ花写真、サクラ花観察地図、サクラ開花情報、サクラ花情報で案内します。
紫陽花アジサイ
万葉集4448「紫陽花の八重咲くごとく 八つ代にを いませ我が背子 見つつ偲はむ」 アジサイ科アジサイ属アジサイ(紫陽花Ajisai Hydrangea macrophylla)は日本、中国原産の双子葉、落葉性、小低木(潅木)です。アジサイの花はがく片が大きく、花弁は目立ちません。アジサイのがく片の色は青色、赤色、紫色、白色、他で時間により変化します。アジサイのがく片は4(1.4〜2.4cm)、花弁4(2〜4mm)です。アジサイの花の花柱は3、雄蕊10です。アジサイの涼しげな花は、初夏、梅雨時の花として世界中で人気があります。
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図鑑奈良花図鑑
奈良は日本の古代国家発祥の地です。奈良の正倉院の宝物を見ると、ローマや西アジアの作品に描かれた植物や輸入された香木を見ることができます。古代から奈良は国際都市であったことが、遺跡発掘などからもわかっています。奈良の古い寺社を花散歩すると、古い時代に海外から輸入された植物や薬草を多く見ることができます。また奈良では日本原産の植物も、見ることができます。古の奈良に咲く四季の花を写真と花観察地図、奈良花情報で案内いたします。
都花京都花図鑑
古都京都は1200年の都の歴史を持つ、世界で最も人気の高い街の一つです。古都京都に咲く花は華やかで可憐です。京都の街や寺社の境内を花散歩すると、息をのむほど美しい花や風景に出逢うことがあります。京都の街に咲く四季の花を写真と花観察地図、京都花情報で案内いたします。
信州長野信州花図鑑
長野信州は日本の中心にあり、日本アルプスを擁している地域です。長野信州の植物は多様で、変化に富んでいます。信州の植物は固有種も多く見られます。また信州の山や高山帯には山の植物や高山植物も多く山高原の花散歩の楽しみです。長野信州の花を写真と花観察地図、長野信州花情報で案内いたします。
はなごよみ花暦図鑑
古くから使われている日本語に「花暦(はなごよみ)」という言葉があります。「花暦」は美しい言葉ですね。自然界は正直なもので、コロナ騒ぎの中でも毎年同じように花が開花します。年によって多少の遅い早いはありますが、花の咲く順番はそれほど変わることがありません。そのため古くは「花暦」を農作業などの指標にもしていたようです。現代でも「花暦」を意識して、デパートなどの飾りつけなども行われているようです。日本列島に咲く月毎の花を、写真図鑑と月毎の花観察地図で案内いたします。
万葉植物図鑑の写真を、楽しんでもらえたでしょうか?古代から伝わる万葉の植物は、けなげで清楚で親しみの持てるものが多いです。万葉植物図鑑の写真は、すべて現地取材で撮影したものです。1枚でも気に入った万葉植物図鑑の写真があれば、光栄です。万葉植物図鑑のページはこれから、充実してゆきますので、楽しみにしてください。万葉植物図鑑の写真と地図を片手に、皆様も万葉植物花散歩を楽しんでください。
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